朝7時から始まるザッポスの新入社員トレーニング

先日の記事では、ザッポス社のカルチャーフィット採用の特徴についてご紹介しました。

今回は、採用後の新入社員トレーニングについてご紹介していきます。

ちなみに日本だと新卒と中途でトレーニング内容が変わってくるのが一般的かと思いますが、米国の場合、ほとんどの会社でその差はないと言っていいでしょう。

ザッポスの場合も、新卒だろうが、中途だろうが、トレーニング内容に差はありません。

 

全員参加の4週間トレーニング

 

ザッポスでは、新入社員に対して、4週間のトレーニングが行われます。これは役職、配属部署に関係なく、全員共通した内容です。

ザッポスによれば、このトレーニングには次のような役割があるそうです。

・組織全体の歩調を整える
・社員に対する期待値を伝える
・新入社員のコミットメントを再度確認する
・コアバリュー中心の仕事のやり方を体で覚えてもらう

一般的に言っても、新入社員トレーニングは、経営理念を社内で共有するために非常に重要な機会であるとされています。

それを考えれば、ザッポスが4週間もトレーニング期間を設けているのも納得できます。

では、その4週間もの間、どんなトレーニングをするのか?

中心となるのは、ザッポスのコールセンターでの実地トレーニングです。

つまり、どんな役職、部署に配属される人であろうと、まずはコールセンターで実際に顧客と話をすることが求められるのです。

これはザッポスの企業文化が顧客中心、カスタマーサービス中心で創られているため、新入社員にそれを体感してもらうためです。

もうひとつ、このトレーニングを行う理由として、ホリデーシーズンにおけるコールセンター要員を確保するため、ということもあるそうです。

ザッポスではコールセンターをアウトソーシングしていません。全部内製です。これは先述した通り、顧客との接点こそ彼らにとって最も重要なものだからです。

そのため、注文が集中するホリデーシーズンには、全社員総出でコールセンターを手伝うそうです(CEOであるトニーシェイも例外ではない)。

新入社員にコールセンターを手伝ってもらうのは、そういった人手不足に対応するためでもあるのです。

 

朝7時集合、遅刻したらオシマイ

 

新入社員は、採用されるとリクルーターからトレーニングについての詳細資料を受け取ります。

その資料に書かれているのは、”トレーニングの開始は、毎日朝7時から”だということ。

7時に数分でも遅れると、そのトレーニンググループからは外され、次の機会を待つ必要があります。

ザッポス社内は非常に自由な雰囲気ですが、実は規律にはとても厳しいのです。

自由さや楽しさがある一方で、社員には厳しいプロフェッショナリズムを求めるのがザッポスなのです。

 

テストで落ちたらオシマイ

 

新入社員トレーニングでは、2回のテストが行われます。

一回目のテストは筆記試験。これで90%以上の正解率を出さなければ、採用はなかったことになってしまいます。これも厳しい規律です。

二回目のテストは、実際の顧客とのやり取りをチェックされます。これはザッポスのコアバリューに沿ったコミュニケーションを取れているかどうかが判断基準になります。

”会社はポリシー、手続き、ルールがなければ、会社として成り立ちません。もし、新入社員トレーニングで明確に会社の基準を伝えられなければ、時間を無駄にしているだけなのです。どのようにして新入社員に会社からの期待値を伝えるか?それを学ぶことは、とても重要なステップになります。” - ザッポス

 

自ら手本を見せよ

 

ザッポスでは、リーダー自ら手本になる、ということがとても重要視されています。

これは新入社員トレーニング時においても重視されます。

たとえば、新入社員を教えるチームリーダーも、朝7時に必ず来なくてはいけません。また、同じように自ら顧客からの電話に対応する必要があります。

こうしてリーダー自らコアバリューに沿った行動を示すことで、それが単なる言葉、単なる標語ではないことを伝えるのです。

この辺は上司や経営層が重役出勤する大半の企業とは違いますね。

ちなみにトレーニングの初日に、すべての新入社員に一人ずつメンターが付けられます。メンターは人事部門ではなく、コールセンターで働くチームメンバーが担当します。

これはトレーニングの内容が多岐にわたり、かつ速いペースで行われるため、脱落しないための制度だそうです。

トレーニングは、コールセンターでの実地トレーニングだけではありません。他にも会社について知っておきべくことを学ぶ機会が与えられます。

トレーニングの形式としては、学校の授業のような講義形式のものもあったり、実際に仕事を体験するものがあったり、チームワーク構築のためのワークショップ的なものもあるそうです。

実際にどんなことを学ぶのか、例を見てみましょう。

ザッポスの歴史
ザッポスの歴史について学びます。どんな会社でも、時には創業の精神に立ち戻ることが重要ですね。なぜこの会社が誕生したのか、どんなチャレンジや成功があったのか、それらを知ることで会社のことを好きになるというのもあると思います。

ウェブサイトの勉強
ザッポスのウェブサイトについて良く理解します。ザッポスはEコマースの会社ですから、自社のウェブサイトについては完璧に理解していないといけません。実はザッポスを利用したことのない人も入社してくるようで、彼らに使い方を教えてあげる必要があるそうです。

コアバリュー
当然ながら、コアバリューについての詳細なトレーニングがあります。中には、コアバリューの中から一つを選び、寸劇形式でそれを表現する、みたいなイベントもあるそうです。

福利厚生
福利厚生の説明です。これは一般企業と同じですね。

経営層とのQAセッション
CEOのトニーシェイなど、経営陣とのQAセッションが設けられるそうです。ここでトレーニングでは学べない、会社の経営についてなんでも質問できます。

 

以上が新入社員トレーニングの概要です。

ザッポスのコアバリューの一つに、”学び続ける”というものがあります。

このコアバリュー通り、新入社員トレーニングを終えた後でも、社員向けの様々なコースが用意されています。

また、社内にはザッポスライブラリーと呼ばれる蔵書(私が見た限り、それほど数は多くないですが)があります。

これらを通じて、継続的に自己成長をしていくための場が用意されています。

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Naoki Shimizu

Naoki Shimizu

一般財団日本アントレプレナー学会代表理事
大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、モバイルコマースの創業メンバーとして参加し、上場を目指すが頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。
Naoki Shimizu

Naoki Shimizu

一般財団日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、モバイルコマースの創業メンバーとして参加し、上場を目指すが頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。